cocomat's BLOG わかってないひとの書評

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【深夜特急〈4〉】青春発墓場行のバスに乗りあう【読書感想】

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シルクロードと聞くとどうしても万里の長城が浮かび上がってしまう。というか、なんの疑いもなくシルクロード万里の長城が同じようなものだと思い込んでいてふと、よく考えると全く違うものなのだと気づく。「シルクロード」でGoogle画像検索をしてみてもそこには地図や砂漠にラクダといった画像ばかり。シルクロードにはどうやらイメージはないようだ。「シルクロード万里の長城じゃない」というショックと「今までよくこの件で恥をかかなかったものだと」いう安堵から風雑な気持ちにならざるをえない。

こんばんは。コマツです。

毎週末、コマツの中で恒例になっている深夜特急。ちなみに隣の家では毎週末『君が代』を練習するのが恒例になっているらしく、週末予定がない日や、暇な時間などに『深夜特急』を読んでいると隣の部屋から『君が代』を引くキーボードの音が漏れるというなんとも平和な昼下がりがそこにあったりする。

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)

 

コミュニケーションは楽しい。

宿での値段交渉に始まり、バスの車中での会話と主人公はよく人に話しかけられ、人と話す。積極的にコミュニケーションをとろうとする。それに飽きてしまうほどに。これほどまでに他人とコミュニケーションをとる機会があるのか。と驚くと共にそれがものすごく魅力的なもののように思える。

かくいうコマツもよく知らない人に話しかけられてたりする。電車のホームで前に並んでいるおばさまに電車の行き先を聞かれそのまま自分の最寄り駅まで二人で隣同士に座り(というのもそのおばさまがわざわざコマツのために席をとっておいてくれたのだ。)ひたすらに楽しくお喋りをしたこともあった。知らない人と話たりすることにはあまり抵抗はないがいざ自分から話しかけなければいけないといった場面では構えすぎて人見知りになってしまったりもするが。

こんな話を正月に初詣帰りに話したことがあった。コマツは毎年行った先の神社で縁結びのお守りを買うことにしている。最初は恋愛がらみ、それが段々と漠然とした「ご縁」のために買うようになっていた。「縁結びのお守りなんて買ってるからだよ。」と一蹴りされたが、そんな彼女もその日東京駅でコマツの目の前でタイ人の団体に仙台までの道のりを聞かれていたのだ。

親切に飽きるという贅沢。

旅というのは人の親切なくしては成り立たないのかもしれない。

旅の中で出会う人がやけに親切に感じることがこのシリーズの中ではよくある。こんなにも人は人に親切になれるのか。単身で世界をまわらなくてはわからないことは些細な事まで数多く存在するのかもしれない。親切に飽きる、親切にうんざりする。そんな経験普段の生活の中で果たして体験することなど出来るのだろうか。

家族で大阪に行った時に現在地から目的地まで歩いていける距離なのか、そうでないのか地図を片手に悩んでいた時にそばにいた見知らぬ腰の曲がった金歯のおばあちゃんから「この道まっすぐ。歩いていけるよ。」と聞いてもないのに教えてもらったことがある。いざ行ってみるとあのおばあちゃんが歩き通せる距離なのか甚だ疑問だったが、なんとかあるいて現地到着できたことがある。

歩いていけないのなら行かないといった空気だったので、あのおばあちゃんの言葉はまさに鶴の一声だった気がする。道中の光景は今でもいい思い出である。

旅とはそういった人とのコミュニケーションの上に成り立つものなのかもしれない。親切にしてくれる人も旅人の持つ青春きらびやかなオーラにあこがれているのではないかとも思わせる。

ヒッピーの乗合バスの描写がある。東からヨーロッパへ帰るためのようなバスだ。

別れ際に、ロッテルダムの若者に声を掛けた。

「またいつか会おう」

すると彼はバスを指さしながらこう言った。

"From Yourth to Death !"

おそらく彼は、このバスを「青春発墓場行」と名付けたのだ。

旅は常に青春とともにあるのかもしれない。


Broken Bells - Holding On for Life (Pseudo Video)

おやすみなさい。

 

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