cocomat's BLOG わかってないひとの書評

このブログは、本や美術展等の感想とその他ムラムラっとした雑記も交えてお送りいたします。

【町長選挙】三作目ともなるとやっぱりどうしてもイマイチな感じになってしまうのはどうしてだろうね【読書感想】

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今日の帰りの電車の中でギター担いだ男が女の子に囲まれていました。囲まれているということはちょっと混んだ電車の中で彼女たちがバリケードになるおかげで男は車内で快適な時間を過ごせるわけです。別にイケメンでもないし何ならちょっと不潔っぽいのにチヤホヤされる人ってたまにいますけど。サブカルっぽくて、それっぽい雰囲気出す奴。ああいうのが本当に苦手です。

こんばんは。コマツです。

『町長選挙(奥田英朗)』読み終わりました。伊良部シリーズの三つ目の作品です。

町長選挙 (文春文庫)

町長選挙 (文春文庫)

 

安定の「いつもの」

いつものパターン、お決まりの流れ。言い方はいろいろあります。水戸黄門とか戦隊物とかアンパンマンとかによくある、毎回同じ流れでディテイルだけ取り替えてってやつですね。毎回同じ流れで安心するか、流石に三冊目ともなると飽きてしまうのか。それは人によるとは思いますが。

 二作目の『空中ブランコ』があまりにも良すぎたために期待はしていませんでした。

cocomatz.hatenablog.com

ネタ切れ?想像力を奪う粗悪な設定。

今回の『町長選挙』は四編から構成されているのですが、最後の、タイトルにもなっている『町長選挙』以外は面白く無いわけではないにもかかわらず、読んでいてすこぶるうんざりしてしまいました。

患者として出てくるキャラクターに実在する人物がモデルとして当てられるなんてことは良くある話かもしれません。しかし、それがあまりにも現実そのままと言うのは文章としてどうなのだろうと思ってしまいます。固有名詞を変えただけで、何をしている人か、今誰とどんなことでもめているのか。ちょっと考えなくても、

「あ、この主人公はホリエモンライブドアニッポン放送の株を買い占めようとしている話だ。」

なんてわかってしまうわけです。

そうなってしまうと、もうなぜ小説を読んでいるのかすらわからなくなります。そんな実際に起こったことならグーグルのほうが詳細に書いてあるし、何より想像の幅が大きく狭まってしまう。これは読者に対してすごく失礼な行為なのではないかと思うのですが、それは言い過ぎなのでしょうか。非常に残念でした。

最高のドタバタ活劇。

しかし、そんな中でも『町長選挙』は本当に面白かったです。

おそらくモデルになっている事件というか、問題というのはあるのでしょうが、それはあくまで出来事であって人ではないし、結構な人が知らない問題だと思うので読者がオリジナルのイメージを持つ邪魔にはならないわけです。

そんな『町長選挙』物語は終始てんやわんや。お祭りのような勢いのまま進む物語は爽快感すら感じます。町民の力強さ、傍若無人さ、島ならでわのルール。それに翻弄される患者。揺らるゆらるとかいくぐる伊良部先生。そのドタバタ感はこの話だけをそのまま映画にしても面白いのではと思うくらいに楽しいエンターテイメントでした。

とりあえず伊良部シリーズは読み終わりということで。それにしても三作目って映画でも何でも、何でこうもうまくいかないのでしょう。


Vampire Weekend - A-Punk (Amex UNSTAGED)

おやすみなさい。