【風の歌を聴け】セックス抜きで淡々と繰り広げられる物語【読書感想】
先日出勤中の電車の中で背の高い白人の青年がひたすらにアイフォーンに表示される「わ」という文字を眺めてました。なにが面白くてそんな真剣に見ているんだろうと思ったら、その後ローマ字表を出してきて「わ」の画面に戻って「wa」と入力してました。その後は出てくるいろいろなひらがなを「chi」とか「tsu」とかっていう要領でスラスラ解いていたのですが、また解けないひらがながあってそこで詰まっていたのです。その後ちょうど駅について電車を降りたのですが、未だになんのひらがなが読めなかったのか思い出せないのです。
こんばんは。コマツです。
あまりにも読むものがなくてどうせ村上春樹しかないような本棚を漁っていたら、ちょうど返してもらったばかりの本が転がっていたので薄いし読むかということで、数カ月ぶり4回めくらいに読みました。
村上春樹のデビュー作、そして鼠三部作(ダンス・ダンス・ダンスも入れたら4部作)のひとつ目の作品です。
夏の休暇を地元で過ごすっていうだけのなんでもないといえばなんでもない。少し叙情的な雰囲気すらあります。ひたすら親友と酒を飲み、何事かに悩み、また酒を呑む。それだけです。
わかりやすい起承転結なんてものは存在しません。夏休みだから地元に戻ってきて、テストがあるからそろそろ帰るよ。ただそれだけ。セックスすらしません。ノルウェイの森しか読んでない人はきっと驚くでしょうね。
まじ?ワタナベはあんなにたくさんの女とやったのに?なんて。
ただ物語以上に、村上春樹の言葉選びや、苦いジョークなどが楽しめる人には楽しめる一作なのではないでしょうか。物語にほとんど起伏がないぶんふとした一行に旨味が込められてる。それをたまに拾って咀嚼して。そんな読み方のできるのではないかと、そんなことはないですね。
そしてぜひ読み終わった後に冒頭に出てくる作家の名前を検索してみてください。いよいよ考えて本を読むことが馬鹿らしくなります。それを知っていると知らないではこの作品の感じ方もほんの少しだけ変わってしまうかもしれません。
のペーっと進む物語とたまにクスリときてしまいそうな(くるとはいっていない)フレーズ。そしていかに冒頭から最後まで登場し続ける例の作家が偉大な人物か。その辺をのんびりと楽しむ(楽しめない人はとことん楽しめない)一作です。
おすすめしません!好きだけど!
おやすみなさい。