【ダンス・ダンス・ダンス】五反田くんの役割を勝手に考察し、作者史上最も可愛いキャラを愛でる【読書感想】
ちょっと前からアップルミュージックというものをはじめました。あまりにも楽しすぎて3ヶ月トライアルの後課金余裕だったのですが、いかんせんメジャーな邦楽が少なすぎるんですねぇ。宇多田ヒカルも椎名林檎も山下達郎もないのです。仕方ないから、洋楽とマイナー邦楽のオルタナティブとエレクトロばっかりあさってるのですが、そうなると必然的にカラオケのレパートリーがなくなってしまうというのが今の悩みです。
こんばんは。コマツです。
『ダンス・ダンス・ダンス(上)(村上春樹)』読み終わりました。おそらく三周目くらいだと思います。『羊の巡る冒険』に続く、羊四部作?の完結作です。
あれから四年。
前半は『羊をめぐる冒険』から四年後の主人公の今と、新しい世界のルール提示から始まります。新しい世界のディーラーは羊男です。今回求められるのは冒険での立ち回りではなく、うまく踊ること。完璧なダンスステップです。前作で何もかもをやんわりと静かに失ってしまった主人公が再度奇妙な世界につながってゆく。そんな作品になっています。
五反田くんと僕の関係を勝手に考える。
今回は今までの作品と違い、キャラクターにしっかりと固有名詞が与えられています。主人公の「僕」以外は。主人公にだけ名前が与えられていないのです。まわりのキャラクターが執拗に名前を与えられてるところを見ると、主人公が誰からも名前を呼ばれないあたりが余計に浮き出てきます。
なんとなくそれは、ドラクエやポケモンの主人公を連想させます。他のキャラクターはペラペラ喋るのに主人公は一切言葉を話しません。その極端な差がなんとなくこの主人公とリンクする気がします。
そして名前を与えられているキャラクターの一人に「五反田くん」というキャラクターがいます。彼の無個性っぷりと言うか、自主感のなさはなんとなくまどマギのキュウべぇや仮面ライダーのショッカーを連想させます。概念をまわりから押し付けられて自ら選択肢ない感じは、物語の悪役によくあるスタイルだと思います。ただ、五反田くんが誰に操られていたのかはわかりませんが。彼のこの量産型クローンっぷりはやけに上に書いた悪役キャラにリンクする気がするのです。
ここで、主人公と敵の構図が浮き上がってきました。あら不思議。
村上春樹史上最強に可愛いキャラ。
と、本当はそんなことはどうでもよくて、この作品には「ユキ」というむちゃくちゃに可愛いキャラクターが出てきます。おそらく村上春樹作品のなかで一番可愛いキャラクターです。ちょっと問題のあるこの美しい少女は、ハードボイルドがちょっと薄まってきた主人公の心を揺さぶります。惑わすとか、混乱させるとかではなく、しっかりと主人公に大人としての考えを述べさせたり、物語のキーにもなってくる子どもと大人の差みたいなものをしっかりと主人公に提示する重要な役割を担っているのですが。
とにかくこの子が可愛い。ウォークマンを聞いて、バンドT着て、ちょっと感じやすくて、目が合うと微笑みかけてくる感じがとても可愛い。主人公と一緒にいるうちにだんだんと主人公に打ち解けていき、終いにはビーチボーイズを一緒に歌っちゃうところなんてチャーミングすぎてハゲそうになります。
下巻ではそんなユキちゃんとハワイに行ったり、物語が進行して若干シリアスになったり、主人公がやっと自分の居場所を見つけたりします。そして羊四部作が完結すると。楽しみです。ハワイ。いきたいなぁー。ハワイ。
Paul Simon - Still Crazy After All These Years
おやすみなさい。