cocomat's BLOG わかってないひとの書評

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【新世界より(中)】子どもという無限の可能性への恐怖【読書感想】

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先日久しぶりに映画を見ました。『オデッセイ』っていう70億人が主人公の帰りを待ってるあれです。『ゼロ・グラビティ』で「宇宙怖い!」っていうのはわかっていたのですが、更にそれに拍車がかかりました。しかしすごく面白かったです。エンディングの曲も相まって「ブラボー!」ってスタンディングオベーションしたくなりました。

こんばんは。コマツです。

新世界より(中)(貴志祐介)』読み終わりました。上と比べると説明は遥かに少なく、また物語が動き出すところでもあったためページの割にさくさく読めてしまいました。

新世界より(中) (講談社文庫)

新世界より(中) (講談社文庫)

 

 子どもの持つ無限の可能性。

この巻で特に際立ったのが物語の舞台となる「新世界」のシステムやルールが浮き彫りになったところだと思います。それ故の抑圧、束縛、ネジ曲がった価値観。上巻で説明されていたものが具現化して現れるといったところでしょうか。異世界における社会と、大人になりきれない子どもたち。それを恐れる大人という構図が成り立っていることがわかります。

子ども、特に少女には無限の可能性が込められているというのは、日本の物語には良くある話です。ポピュラーなところで言えばプリキュアセーラームーン等の戦闘美少女系アニメ。ジブリアニメの主人公など、少女が特殊な力でトラブルを解決するといったものです。子どもの純粋さや恐れを知らない好奇心、深い探究心など、天然の世間知らずからくるそれが無限の可能性に結びつくというわけです。

この『新世界より』の社会はそれらの可能性を良しとしない、または極度に恐れるような価値観の上で成り立っています。それ故に大人はむしろ子どもよりも恐怖し、焦る。そういった様子が顕著に現れています。しかしそれもまた子どもの持つ無限の可能性が場合によっては社会を脅かすものであるということの裏返しでもあるのです。

ここでもまた子ども対大人という戦闘美少女系によくある構図が生み出されるのです。

物語の設定上、人間の深層心理や無意識に関わるようそがとても強いため子どもというのは特に管理すべきという価値観はわからないでもないです。そういった物語上の価値観と現実の価値観の歪みとその間で必死に翻弄する子どもたち。非常に面白くなってきました。


dEUS - Suds & Soda (from Worst Case Scenario)

おやすみなさい。

 

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